716.東武鉄道佐野駅



東武佐野線佐野駅は島式1面2線の地上駅で、JR両毛線と平行する形で北側にホームが設置されている。
東武鉄道佐野駅は1894年3月20日に佐野鉄道の駅として開業した。
両毛線の佐野駅は6年前の1888年5月22日に両毛鉄道の駅として開業している。
1912年に佐野鉄道が東武鉄道に合併され、東武鉄道の駅となる。
跨線橋で駅の南北は自由通路で結ばれ、自由通路上にそれぞれの改札が設置されている。
そのため乗り換えにはいったん改札外に出なければならない。
しかもJRと東武線の発着時刻がほぼ同じ時間であり、実質的に乗換は不可能である。
何故こんなダイヤ設定になっているのか分からないが、
意図的に乗換不可能なダイヤ設定になっているような気がする。
東武鉄道と旧国鉄との因縁がまだ尾を引いているような気がするのだ。
両毛線は両毛鉄道によって施設され、日本鉄道との吸収合併を経て国鉄となった路線で、
両毛地区の絹織物の輸送を主目的として施設されたのだった。
一方東武佐野線の前身は佐野鉄道で葛生地区から石灰石を運ぶために施設された。
東武鉄道が佐野鉄道を合併したものこの地区の貨物輸送を独占したいがためであった。
東武が進出するまでは葛生地区の貨物は佐野鉄道から佐野駅で両毛線に流れていた。
東武はそれを自社の施設した東武伊勢崎線経由にすることを目論んでいた。
佐野−葛生間の佐野鉄道を吸収合併した東武鉄道は、
東武伊勢崎線館林から佐野までの連絡線を施設し、貨物を独占した。
当時はまだ貨物輸送が鉄道収益の主体だった時代である。
この時の怨念がまだ両社に渦巻いているように思える。
時代が移り過ぎ貨物輸送が衰退し、
東武佐野線の運転本数が減ってからも両毛線との接続を計ることはなく、
東武鉄道は佐野市駅を中心と考えて、
佐野駅は単に両毛線との乗換駅に過ぎないという位置づけにしている。


画像 dd03978
撮影時刻 2005/03/20 09:42:56



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