1096.JR根室本線幾寅駅



幾寅駅は単式1面1線の地上ホームを有する根室本線の無人駅である。
かつては島式ホーム2面の片面だけを使って実質的には相対式2面2線の構造であった。
駅舎側の線路は貨物線が使用していたが、貨物営業が廃止されたために貨物線が撤去され、
構内踏切を使わずにホームに行けるように島式ホームの片側だけを使った1面1線構造となった。
根室本線は北海道鉄道敷設法により旭川と釧路を結ぶ幹線鉄道として建設された。
北海道官設鉄道によって旭川からは十勝線として、釧路からは釧路線として敷設されていった。
十勝線は1899年9月1日に旭川から美瑛の区間が開業、その後延伸を続け、
1901年9月3日に落合まで延伸、その翌年の1902年12月6日に幾寅は開業した。
その後1905年4月1日に釧路線とともに官設鉄道に移管され、
1907年9月8日に落合と帯広までが開業し旭川から釧路までの区間が全通、
1909年10月12日の線路名称制定により同区間が釧路線となる。
1913年11月10日に滝川から下富良野までの新線が開業、
それに合わせて新線と合わせて滝川から釧路までを釧路本線とし、旭川から下富良野までを富良野線として分離した。
1921年8月5日に根室まで延伸、滝川から根室までの区間を釧路本線から根室本線に改称した。
この年に幾寅から幾寅久住までに幾寅森林軌道という馬車鉄道が開業したが、1928年には廃止された。
幾寅駅は映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地として有名な駅であり、
駅の看板は映画の中で登場した架空の駅の「幌舞」のままになっている。
映画のロケ地としてオープンセットを残すことは良くあることだが、
実際の駅でロケをして、撮影時に使った架空の駅名表示板まで残されているのである。
これはたぶん全国でも例のないことだろう。
言い換えれば嘘の駅名が鉄道会社公認のもとに付けられているのである。
それほどまでにこの映画がこの地に残した財産が大きいのかもしれない。
駅は木造の瀟洒な造りとなっているが、これは映画のために既存の駅舎の内外装を改装している。
駅前には映画の中で登場した「だるま食堂」や「ひらた理容店」などのオープンセットがそのまま保存されている。
また映画で使用された気動車まで部分的に保存されているのである。
これは実際の気動車キハ40 764の外見をキハ12形に改装を施し、前半部を飾っている。
映画撮影後も改装されたまま「ぽっぽや号」として運行されていたが、
老朽化により2005年6月に廃車され、カットモデルとしてこの地に設置された。
駅舎の中には映画で使われて小道具や出演者のサインなどが飾られ、メーキング映像が流れて、
高倉健さんの雪の中に佇むシーンや大竹しのぶさんが妊娠を告げるシーンなどがビデオに流されている。
駅名はアイヌ語の「ユク・トラシ・ペツ」に由来し、「鹿の上る川」の意である。


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撮影時刻 2008/11/16 11:03:38

映画で使われた気動車のカットモデル。


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撮影時刻 2008/11/16 11:02:05
映画のオープンセット。


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撮影時刻 2008/11/16 11:02:21
ホームから見たJR幾寅駅。


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撮影時刻 2008/11/16 11:14:33




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