766.津軽鉄道金木駅




津軽鉄道金木駅は相対式2面2線の地上ホームを有する津軽鉄道線の有人駅である。
津軽鉄道線の中で唯一の上下線交換可能駅であり、構内には腕木式信号機がある。
駅舎は“金木交流プラザ”が併設されており、2階には「ぽっぽ家」という食堂が併設されている。
かつてはここにSMAPの香取慎吾氏がテレビ番組の企画で子供達と列車にペイントした気動車が留置されていた。
1930年7月15日に五所川原から金木まで敷設された時に終着駅として開業、
後の延伸で途中駅となり、車両交換の出来る駅として機能している。
また金木は作家の太宰治氏の誕生地であり、生家は“斜陽館”として公開されている。
ホームには太宰治の「津軽」の一文が掲示されている。

 「金木は、私の生れた町である。津軽平野のほぼ中央に位し、人口五、六千の、これといふ特徴もないが、
 どこやら都会ふうにちよつと気取つた町である。
 善く言へば、水のやうに淡泊であり、悪く言へば、底の浅い見栄坊の町といふ事になつてゐるやうである。・・・・・・
 『や!富士。いいなあ。』と私は叫んだ。富士ではなかつた。津軽富士と呼ばれてゐる一千六百二十五メートルの岩木山が、
 満目の水田の尽きるところに、ふはりと浮んでゐる。実際、軽く浮んでゐる感じなのである。
 したたるほど真蒼で、富士山よりもつと女らしく、十二単衣の裾を、銀杏の葉をさかさに立てたやうにぱらりとひらいて左右の均斉も正しく、
 静かに青空に浮んでゐる。
 決して高い山ではないが、けれども、なかなか、透きとほるくらゐに嬋娟たる美女ではある。・・・・・・
 私はこの旅行で、さまざまの方面からこの津軽富士を眺めたが、弘前から見るといかにも重くどつしりして、
 岩木山はやはり弘前のものかも知れないと思ふ一方、
 また津軽平野の金木、五所川原、木造あたりから眺めた岩木山の端正で華奢な姿も忘れられなかつた。

 太宰治『津軽』より(原文のまま)」


画像 dd04338
撮影時刻 2005/09/19 09:03:12



REI RINGONO Station
All rights reserved,
Copyright (C) Semisweet Apple Company and REI RINGONO 2012